人社系プログラム

幸福感の国際比較分析に基づく、経済競争力のある福祉国家の構築に関する研究〔J2404〕

最終更新日:2015.05.25

同志社大学/ライフリスク研究センター
主担当研究者氏名: 橘木 俊詔

若手研究者の派遣計画【海外派遣全体計画】
年度 2012年度 2013年度 2014年度 合計
派遣人数 4人 4人
(3人)
3人
(3人)
5人

※ ( )内は前年度から継続して派遣されている人数(内数)

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事業計画・目的、これまでの進捗状況

●事業計画・目的 
 政府財政の危機が深刻化する中、社会保障制度の改革を含め、格差社会の問題点を是正し、安心ある心豊かな社会を構築するための政策を策定することが求められている。本研究では、これまでの社会保障政策等の政策が、国民の幸福感を効果的に高めてきたのかという問いから出発し、国民の不安感とストレスがどのような要因によって生じているかを明らかにし、幸福感分析を基礎とした格差社会是正策を初めとした政策提言を行う。具体的には、国民の幸福感が雇用システム、家族間の関係、結婚、社会保障制度、財政制度、教育システム、文化的環境、地域社会の相互扶助機能、コミュニケーションの機会といった要因とどのように結びついているかについて分析を進め、強い経済競争力を持つ安心ある心豊かな社会の構築に向けての政策を明らかにする。
 この問題を分析するにあたり、幸福感に関する国際比較研究は有効かつ不可欠なものであると言えよう。国によって社会保障制度、コミュニティ構造等の社会構造、労働市場の構造といったものが異なり、それにより、幸福感がどのように形成されているかは、国によって大きく異なることが予想される。
 このように、幸福感に関して国際比較研究を進めることにより、上述の社会構造と幸福感との関連性を明確にし、危機に直面した国家財政の下で、日本がどのような福祉国家を構築できるかを提言することが本研究の目的となる。
 これまで、同志社大学ライフリスク研究センターでは、Stanford University,韓国中央大学, York University, University of Zurich, London School of Economics, European Center for Advanced Research in Economics and Statistics (ECARES), Duisburg-Essen University, Sheffield University, パリ高等教育研究機構(EHESS)と共同研究を進めてきており、著書を出版すると共に、2012年3月にはジョイントワークショップを開催した。これらの研究機関の中でも、本研究プロジェクトに最も適した機関を選定して共同を進める。本研究プロジェクトの研究体制は、次の図のように、4つの研究グループを形成し、国際共同研究を進める。橘木センター長を中心にライフリスク研究センターの主要メンバー(教授クラス)は、本プロジェクトの4つのグループのチーフ研究者として各分野を統括する。

●これまでの進捗状況
(研究期間中における研究のスケジュール)
 平成24年度12月までに、社会保障、雇用制度、教育制度、文化政策といった4つの研究領域別に、ヨーロッパにおける幸福感研究の既存研究を精査し、各領域別に各国の特徴を明確にし、アンケート調査を実施するための準備を進める。特に、既存のアンケート調査の調査項目を整理し、質問票作成の準備を進める。平成25年1月から3月までは、国際共同研究機関において共同研究者と共にアンケート調査票を作成するとともに、調査方法の詰めを実施する。すでに、ヨーロッパでのアンケート調査についてはライフリスク研究センターは経験を持っており、実施可能な方法についていくつかの候補案を有している。平成25年4月から平成25年8月までに調査票を確定し、10月までに各領域の質問票を取り込んだヨーロッパ全体での調査を実施する。平成26年3月までに調査結果の分析と、分析結果に基づく新たなる理論仮説の提示と政策分析を進める。平成26年7月までに、理論仮説に基づいたインタビュー調査を行い、理論仮説の精緻化を進める。平成26年12月までに、精緻化された理論仮説を基礎とした追加アンケート調査をヨーロッパ全体で実施する。平成27年3月までに、国際共同研究機関と共に、研究成果を発表する国際ワークショップを日本およびヨーロッパにおいて開催する。

(実施内容及び成果)
[平成24年度]
1)社会保障、雇用制度、教育制度、文化政策といった4つの研究領域別に、ヨーロッパにおける幸福感研究の既存研究を精査し、各領域別に各国の特徴を明確にし、アンケート調査を実施するための準備を進めた。
2)幸福感と社会保障制度のとの関連では、アンケート調査とフィールドワークおよび供給主体における業務分析等の手法を用いて、社会福祉サービスの供給システムとその費用・人員およびその効果を調査によって計測した。
3)雇用制度が幸福感に与える影響についての研究では、日本におけるデータを用いた分析を進めた。
4)経済格差が幸福感に与える役割に関する研究では、相対所得が幸福度指数に対し影響を与えているメカニズムを解明した。
5)文化的活動と幸福度との関連性については、地域のコミュニティ機能との関連に焦点を当てて分析を進めた。
6)これらの取り組みの結果、経済的・家庭的環境が幸福感に影響を与えているのは、主として不安感であること、また労働の報酬である所得も、生活の経済的基盤を保証するために必要なものであり、豊かで楽しい生活を求めるために必要であるとは認識していないことを示す結果を得られた。

[平成25年度]
1)日本、英国、ドイツを対象としたアンケート調査を実施し、就業状況、婚姻、芸術文化活動が幸福感にどのような影響を与えているかを明らかにした。
2)実証分析を進めるに当たり、幸福感との関連性について理論的な研究を進めた。
3)非正規雇用に関する理論モデルでは、就業におけるアスピレーションにどのような影響を与えるのかという点に焦点を置いた分析を行っている。アスピレーションが生産性に影響を与える場合には、非正規労働者に対する分配比率を最適に制御することにより、正規労働者の獲得報酬を高めることが可能となることが示されている。このような理論モデルを基礎に、実証データを用いて、アスピレーション効果と幸福感への影響についての分析を進めた。
4)これらの研究成果を、2014年2月24日と25日の2日間に亘り開催した幸福感分析に関する国際ワークショップで報告した。

[平成26年度]
1)日本、英国、ドイツを対象に実施したアンケート調査データを用いて、就業状況、婚姻、芸術文化活動が幸福感にどのような影響を与えているかについて、国際比較研究を行った。
2)これらの研究成果を、2014年10月16日および17日の2日間に亘りパリで開催した幸福感分析に関する国際ワークショップで報告した。ワークショップでの報告の基となった論文は、現在Springer 出版社から出版するためのプロセスに入っている。出版物が完成するのは2016年1月を予定している。

派遣先機関の概要

(1) Université Libre de Bruxelles, European Center for Advanced Research in Economics and Statistics (ECARES)
 Université Libre de Bruxelles (ULB) のInstitut d’Etudes Européennes (IEE)が中心となり、1991年にthe Centre for Economic Policy Research (CEPR)と統合して設立されたヨーロッパ有数の研究所である。現在36名の常勤研究者と20名のフェロー、そして博士課程大学院生が50名在籍しており、経済分析に関して顕著な成果を数多く発表している。若手研究者の受け入れに当たっては、数量的経済分析部門の協力を得ることとなっている。
(2) University of Zurich, Department of Economics
 1833年に創設されたヨーロッパ有数の大学であり、400名の教員スタッフと大学院と学部を併せて26,000人の学生が在籍している。本研究プロジェクトと密接に関係しているのが実証経済研究所であり、若手研究者はこの研究所で研究を進める予定となっている。
(3) Universitat Duisburg Essen, Mercator School of Management
 1972年にデュースブルグ市およびエッセン市において、地域の単科大学を統合し、総合大学としてデュースブルグ大学とエッセン大学が別々に設立され、その後、2003年1月にこれら2つの大学が統合されて現在に至っている。学部生は27955名、大学院生は3851名、教職員数は教員500名を含む1273名である。経済学関係の部局は、Faculty of Business Administration and Economics、Mercator School of Managementおよび東アジア研究センターがあり、今回の受け入れはMercator School of Managementが中心となる予定である。
(4) Sheffield University, Department of Economics
 1897年創設のイギリス名門大学であり、同志社大学とは大学間包括協定を結んでいるパートナー大学である。このため、経済学部間でも研究交流が行われてきており、今回のプロジェクトでは、経済学部とCentre for Health and Wellbeing in Public Policy で若手研究者の受入が進められる予定となっている。
(5) Ecole des Hautes Etudes en Sciences Sociales (EHESS,Paris 社会科学高等研究院)
 EHESS は大学院教育プログラムと連携しながら、国際レベルでの学術交流と学際的アプローチによる研究を推進している機関であり、32 の研究ユニットと830人の教員研究者および 250人のエンジニアや技術者を擁している。この中には日本研究所(CRJ)もあり、日本の研究者との共同研究実績も豊かであり、連携の成果を期待することができる。また、本研究に関連の深い公共経済学 (IDEP)研究所との研究交流も行う予定となっている。これらの研究所の施設利用を予定している。

関連サイト

海外派遣状況

派遣者の職名(身分):嘱託研究員
(2015年05月25日現在)
当該若手研究者の研究計画、これまでの進捗状況
 本研究の目的は、人々の幸福感がどのような制度に規定されているかを分析し、よりよい社会を提示することである。そのために、人々の幸福感にとって重要な影響を与える雇用制度の違いに着目した国際比較研究を行い、そこで得られた知見をもとに政策提言を行う。
 具体的な計画は次の通りである。平成24年度および平成25年度に、派遣者はドイツのデュースブルグ・エッセン大学、Werner Pascha教授から各国の雇用制度について指導・助言を受ける。Pascha教授は、アジアやヨーロッパの福祉国家についての国際比較に精通しており、派遣者は雇用制度とその指標の活用法についての指導・助言を受けることが可能である。その上で、雇用制度が幸福感に与える影響についての2つの計量分析を行う。第1に、ドイツ、日本との比較研究によって、日独のそれぞれの雇用制度の特徴が幸福感とどのように関連しているかを明らかにする。この際、他の派遣予定者が考案した幸福度指標を活用する。第2に、日本と同じく家族主義とされる国であるドイツを取り上げ、詳細なケーススタディとしての計量分析を行う。ドイツは日本と同じく雇用規制が強いが、政府による給付が充実しているという特徴があり、雇用制度とそれをとりまく政策のあり方が幸福感に与える影響を日本と比較する上で適切な対象である。これらの研究の成果について、“Europian Sociological Review”に投稿する予定である。
 平成26年度に、他の派遣者とともに、平成25年度までに得られた知見をもとにした共同研究を企画する。日本においてどのような雇用政策が適切であるかについて、Pascha教授を招聘して共同研究を行うほか、政策提言に向けた研究会を企画し活発な議論を行う。そして研究の成果について執筆を行い、“Internaitonal Journal of Japanese Sociology”に投稿を行う。

[平成24年度]
ドイツおよび日本の調査データに精通しているデュースブルグ・エッセン大学のWerner Pascha教授のもとで、適切なデータおよび質問項目、分析手法についての指導を受けた。また、ドイツおよび日本との幸福感・制度比較研究を行う上での基礎的および応用的な文献についての助言を受けた。さらに、デュースブルグ・エッセン大学では、関連する研究を行っている若手研究者との交流を行った。
派遣先
(国・地域名、機関名、受入研究者)
派遣日数(予定を含む) 合計
2012年度 2013年度 2014年度
ドイツ、デュースブルク・エッセン大学、Mercator School of Management、Werner Pascha教授 20日 355日 0日 375日

海外派遣状況

派遣者の職名(身分):助教
(2015年05月25日現在)
当該若手研究者の研究計画、これまでの進捗状況
 経済格差が幸福感に与える役割に関する国際比較研究を中心に共同研究を進める。この研究に関しては、理論的な既存研究が数多く存在しており、主観的な幸福度に対しさまざまな要素が影響を与えていることが明らかにされている。その中でも、相対所得が幸福度指数に対し影響を与えていることが様々な研究により明らかにされている。この点は、格差社会の深刻化が、幸福感に与える影響のメカニズムを解明する上で重要であると認識しており、格差社会と意欲喪失といった負のサイクルを抑止するための政策を考察する上でも重要な意味を持つと考えている。
 また、コミュニティの存在がソーシャルキャピタルとして幸福度に影響を与える存在であるということも様々な研究により明らかにされている。
 ただし、準拠集団に関し具体的にどのような存在を比較対象としているのかについての研究は多くない。アンケート調査を基本として人々がどのような集団を自分と比較しているのかを行う。さらに、自分の所属するコミュニティの存在が準拠集団にどのように影響を与えるのかの調査を行う。
 これらの調査の国際比較を行うことによる成果は、日本とフランスとの社会に対する考え方の違いなどがどのような影響を与えるのか、そこから社会政策に対する幸福感への効果の違いを明らかにすることである。
 また、同時に経済実験を行い人々の合理性の度合いや利他性の度合いなどを加味することによって、より詳細な影響を分析する。

[平成24年度]
EHESS(フランス)・ECARES(ベルギー)・デュイスブルグ・エッセン大学(ドイツ)において、具体的な次年度以降の派遣計画及び研究計画について議論を行った。またこれからの研究におけるアドバイスとともに各国における研究について詳細なレクチャーを受けた。

[平成25年度]
EHESS(フランス)においては、EHESSとEJARN共催の国際ワークショップに参加し、ヨーロッパ諸国の研究者及び実務家と様々なテーマで議論を行った。デュイスブルグ・エッセン大学(ドイツ)においては、Pasche教授のもと、ドイツと日本を主な対象とし研究を進めた。これらの成果は、2月の同志社大学で行われたワークショップにて発表を行った。ECARES(ベルギー)では、Ginsburgh教授のもと、ワークショップでの意見をもとに研究をすすめ、またベルギーとの比較も行った。

[平成26年度]
シェフィールド大学(イギリス)において、前年の研究をもとに成果をまとめ、ディスカッションを行い、研究成果のブラッシュアップを行った。これらの成果は、10月のパリで行われたカンファレンスにて発表した。その後、デュイスブルグ・エッセン大学(ドイツ)で、Pasche教授のもと、論文にまとめた。これはのちに出版される論文集に掲載される予定である。
派遣先
(国・地域名、機関名、受入研究者)
派遣日数(予定を含む) 合計
2012年度 2013年度 2014年度
フランス、日仏財団、EHESS、Sebastien Lechevalier教授 10日 4日 7日 21日
ドイツ、デュースブルク・エッセン大学、Mercator School of Management、Werner Pascha教授 6日 239日 85日 330日
ベルギー、ブリュッセル自由大学、ECARES 、Victor Ginsburgh教授 2日 32日 0日 34日
イギリス、Sheffield University 0日 0日 104日 104日

海外派遣状況

派遣者の職名(身分):助教
(2015年05月25日現在)
当該若手研究者の研究計画、これまでの進捗状況
 当該研究では、人々の生活を支える社会福祉サービスの効果的および効率的な供給システムを、具体的な形で提示することを目的とする。そのための方法として、フィールドワークおよび供給主体における業務分析等の手法を用いて、社会福祉サービスの供給システムとその費用・人員およびその効果を調査によって計測する。
 また具体的な調査対象としては、就労支援および住宅支援サービスを対象とする。費用および人員の面については主に業務分析と統計資料、スタッフへのインタビューによって調査を行い、効果の面についてはサービス利用者へのインタビューや社会および経済に与える影響を、経済的指標を用いて表す。ただし、効果の評価においては就労数や時間、給与、あるいは住宅における面積等などの客観的指標のみならず、利用者へのインタビューによって測るQOL(生活の質)への貢献度とともに、それを実現するための効果的な支援モデル(インタビュー調査から同定)の実施可能性を指標の一つとして、評価を行うものとする。
 本研究では、Sheffield大学およびDuisburg-Essen大学との共同研究によってイギリスおよびドイツでの調査を行い、そこで得られた評価方法・基準をもとに日本(あるいは日本の特定エリア)との比較を行い、最終的には日本において最も効果的な支援を最も効率的に供給するための政策条件を提示すること目的とする。

[平成24年度]
Sheffield大学およびDuisburg-Essen大学の訪問を行い、具体的な派遣計画の確認と受け入れ体制についての説明を受け、今後の研究計画についても積極的な意見交換を行った。イギリスでの調査準備のためのLondon滞在中には、King’s CollegeのThonincroft教授および林真弓研究員を訪問し、25年度以降のイギリスでの調査研究への協力依頼を行った。また、London市内の障害者施設を訪問し、調査協力に向けた説明を行った。

[平成25年度]
Sheffield大学および関係者の協力を受け、社会保障と幸福感という本研究のテーマに沿って有識者へのインタビュー等を行い、イギリスの社会サービス制度において中心的トピックとなっているparsonalizationを軸にサービス事業従事者の態度と利用者の幸福感への社会保障制度の貢献という研究課題を設定するとともに、同大学および関連する研究機関が実施する若手研究者のAcademic Skill向上のためのワークショップ、レッスン等に積極的に参加し、調査に向けた準備を行った。また、具体的なインタビュー調査の計画を設計するとともに、2014年3月にはインタビューを実施した。
派遣先
(国・地域名、機関名、受入研究者)
派遣日数(予定を含む) 合計
2012年度 2013年度 2014年度
イギリス、シェフィールド大学、Department of Economics、Andy Dickerson教授 13日 217日 0日 230日
ドイツ、デュースブルク・エッセン大学、Mercator School of Management、Werner Pascha教授 2日 0日 200日 202日

海外派遣状況

派遣者の職名(身分):嘱託研究員
(2015年05月25日現在)
当該若手研究者の研究計画、これまでの進捗状況
本研究の目的は,脱家族・企業化していく過程を客観的・主観的な指標に基づいてコミュニティ機能と幸福度の関連性について分析し,強い経済競争力を持つ効率的な社会保障制度を提言することである。
OECDが2011年に発表した”Your Better Life Index”では,脱家族化・企業化は人間の幸福を決定する主たる要因であるコミュニティ機能の低下であると指摘している。個人が一生を通じてどの様な社会階層変動を経ているかを分析することによって,どのようなコミュニティを形成してきたかを解明することができる。
くわえて,本研究ではコミュニティ機能をより深く理解するために文化ならびに文化的活動および創造的活動に着目する。これは,社会システムが脱家族化・企業化しコミュニティ形成をうまく成し遂げられない者がいる一方で,やりがいのある仕事や刺激をライフスタイルとして好む新しい「クリエイティブ・クラス」が台頭しているためである。「クリエイティブ・クラス」の活動は,社会システム内の人間ならびに社会関係のみならず,地域のコミュニティ活性をも強化する。
生活保障のリスクを誰に求めるかは,個人の性格だけでなく,属するコミュニティや国の文化といった定性的な指標で現れるところが大きい。本研究では,このようなコミュニティと幸福度の関連性について, EHESSおよびZurich大学との共同研究を介して幸福感を高めるための政策を明らかにする。

[平成24年度]
パリおよびヨーロッパ在住の研究者に詳しいEHESSのSebastien Lechevalier教授のもとで、幸福感・制度比較研究を行う上で,より質の高い研究を行うための先行研究について助言を受けた。また、幸福度調査研究に精通しているZurich大学のBruno S Frey教授に、適切なデータ処理についての指導を受けた。

[平成25年度]
EHESSおよびParis School of Economicsで行われたセミナーに参加して,幸福感の実証分析に必要なデータ分析の方法についてレクチャーを受けたほか,ヨーロッパの若手・中堅研究者を交えて幸福感分析今後の研究計画について積極的な意見交換を行った。

[平成26年度]
派遣目的である幸福度とコミュニティ機能について,格差感と幸福度を規定する社会経済要因および階層について実証研究を行った。進捗および実証結果はEHESSやParis School of Economicsで開かれたセミナーにて報告し,労働経済学分野におけるトップ研究者や若手研究者からコメントを頂いた。ヴェローナ大学では,ヨーロッパのトップ研究者から公正と格差についてのレクチャーを受け,自らの研究について有意義なコメントを頂いた。派遣者が海外派遣中に進めた研究は,「二極化する社会における格差分析」(仮題)として東洋経済出版社から研究書として出版する。
派遣先
(国・地域名、機関名、受入研究者)
派遣日数(予定を含む) 合計
2012年度 2013年度 2014年度
フランス、日仏財団、EHESS、Sebastien Lechevalier教授 7日 13日 328日 348日
イタリア、University of Veron、フランス、日仏財団、EHESS、Sebastien Lechevalier教授 0日 0日 4日 4日
スイス、チューリッヒ大学、Department of Economics、Bruno S Frey 教授 3日 0日 1日 4日

海外派遣状況

派遣者の職名(身分):嘱託研究員
(2015年05月25日現在)
当該若手研究者の研究計画、これまでの進捗状況
平成25年度に派遣者はドイツのデュースブルグ・エッセン大学、Werner Pascha教授から各国の雇用制度について指導・助言を受ける。Pascha教授は、アジアやヨーロッパの福祉国家についての国際比較に精通しており、派遣者は雇用制度とその指標の活用法についての指導・助言を受けることが可能である。また、デュースブルグ・エッセン大学周辺の研究所の研究員と研究討議を進めることを考えている。研究内容は、雇用制度が幸福感に与える影響についての実証分析である。この研究では、1)日独比較研究によって、日独のそれぞれの雇用制度の特徴が幸福感とどのように関連しているかを明らかにし、2)ケーススタディを基にした質問票の構築を行い、サーベイ調査を進める。
平成26年度に、他の派遣者とともに、平成25年度までに得られた知見をもとにした共同研究を企画する。日本においてどのような雇用政策が適切であるかについて、Pascha教授を招聘して共同研究を行うほか、政策提言に向けた研究会を企画し活発な議論を行う。そして研究の成果について執筆を行い、“Internaitonal Journal of Japanese Sociology”に投稿を行う。

[平成25年度]
Duisburg-Essen大学において派遣期間中の研究体制について確認をおこなうとともに、Mercator School of ManagementのWerner Pascha教授と幸福感の国際比較分析について打ち合わせをおこなった。また、EHESSで開催された日仏合同セミナーに参加し、格差社会に対する量的アプローチについて、各国の研究者と意見交換を行った。

[平成26年度]
Duisburg-Essen大学では派遣期間中の研究体制について確認をおこなうとともに、幸福感の国際比較について実証的な分析をすすめた。EHESSで開催された国際会議では、幸福感の規定要因に関する日独間の差異について報告をおこない、格差社会と幸福感との関係について各国の研究者と議論を行った。
派遣先
(国・地域名、機関名、受入研究者)
派遣日数(予定を含む) 合計
2012年度 2013年度 2014年度
ドイツ、デュースブルク・エッセン大学、Mercator School of Management、Werner Pascha教授 0日 44日 139日 183日
Paris (フランス)École des hautes études en sciences sociales 0日 0日 153日 153日
独立行政法人 日本学術振興会
海外派遣事業課
〒102-0083
東京都千代田区麹町5-3-1
麹町ビジネスセンター6F

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